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凍結胚移植前の性行為は何日前までOK?着床率への影響と注意点

公開日:2025.12.25

凍結胚移植を控えている方にとって、日常生活のささいなことまで気になってしまうものです。
特に、パートナーとの性行為については、移植にどう影響するのか、いつまでなら問題ないのか、多くの人が疑問に思う点です。
医師から明確な指示がない場合、自己判断して良いのか不安になることも少なくありません。

この記事では、凍結胚移植前の性行為に関して多くの人が抱える疑問や注意点について解説します。
凍結胚移植前の性行為が着床率に影響を与える可能性について研究報告がありますが、細菌感染や子宮収縮、多胎のリスクを指摘する見解も存在します。移植直前の性行為は子宮収縮や感染症のリスクを避けるため控えることが推奨されており、移植の2〜3日前までとするクリニックが多いものの、医師によっては移植周期中は避けるよう指導する場合もあるため、必ず通院しているクリニックの医師に確認することが重要です。

結論:凍結胚移植前の性交渉は移植日の2~3日前までが目安

凍結胚移植前の性行為は、一概に禁止されているわけではなく、多くのクリニックでは「移植日の2~3日前まで」を目安としています。
これは、性交渉が着床に与えるメリットとデメリットの両方を考慮した上での判断です。
精液に触れることで着床しやすい子宮環境になるという報告がある一方で、移植の直前、特に前日や当日の性行為は子宮収縮や感染症のリスクを高める可能性があるため、避けるべきとされています。

ただし、これは一般的な見解であり、最終的には医師の指示に従うことが最も重要です。

凍結胚移植前の性交渉が着床率に与える影響とは

凍結胚移植を控えた時期の性行為が着床率に与える影響については、肯定的な側面と慎重になるべき側面の両方が報告されています。
一部の研究では、精液への暴露が子宮の免疫環境を整え、胚を受け入れやすくする可能性があると示唆されています。

一方で、性行為による子宮収縮や感染症のリスクが、着床の妨げになるという懸念もあります。
どちらの側面を重視するかは、クリニックの方針や個人の状況によって異なるため、メリットとデメリットを正しく理解しておくことが大切です。

【メリット】精液が子宮内環境を整え着床を助ける可能性

移植前の性交渉が着床にプラスに働くとする説の根拠は、精液に含まれる成分にあります。
精液には「TGF-β」というサイトカインが含まれており、この物質が子宮内膜に作用することで、胚を異物として攻撃しようとする母体の免疫反応を抑制する「免疫寛容」という状態を誘導すると考えられています。

これにより、子宮内膜が胚を受け入れやすい環境に整えられ、結果として着床率や妊娠率が向上したという研究報告もあります。
この効果を期待し、移植の数日前の性交渉を推奨する医師もいますが、まだ確定的な見解ではありません。

【デメリット】子宮収縮や細菌感染のリスクが高まる可能性

移植前の性交渉におけるデメリットとして、主に「子宮収縮」と「細菌感染」の2つのリスクが挙げられます。
まず、オーガズムや、精液に含まれるプロスタグランジンという物質の作用によって子宮が収縮することがあります。
移植直前に子宮が強く収縮すると、胚が着床するのを妨げてしまう可能性があります。

また、性交渉によって膣内から細菌が子宮内に侵入し、感染を引き起こすリスクもゼロではありません。
子宮内環境が悪化すると着床に悪影響を及ぼすため、これらのリスクを避ける目的で、特に移植直前の性交渉は控えるべきだと考えられています。

要注意!凍結胚移植前に性交渉を控えるべきケース

凍結胚移植前の性行為については、一般的な目安は存在するものの、すべての人に当てはまるわけではありません。
個人の体調や治療周期、そして通院しているクリニックの方針によっては、移植周期中の性行為を完全に控えるべきケースもあります。

自己判断で行動するのではなく、これから紹介するような状況に当てはまる場合は特に注意が必要です。
ご自身の状況を正しく把握し、医師の指示や体調を最優先に行動することが、安心して移植日を迎えるために不可欠です。

医師から明確な指示で禁止されている場合

最も優先すべきなのは、担当医師からの指示です。
クリニックの方針や、患者一人ひとりの子宮の状態、過去の治療歴などを総合的に判断し、医師が性交渉を禁止する場合があります。

例えば、子宮内膜にポリープや筋腫がある、あるいは感染症のリスクが高いと判断された場合などです。
医師からの指示には必ず医学的な根拠がありますので、なぜ禁止されているのか疑問に思う場合でも、まずはその指示に従ってください。
もし理由が分からず不安な場合は、遠慮せずに医師に質問し、納得した上で治療を進めることが重要です。
自己判断で指示を破ることは、治療結果に影響を及ぼす可能性があります。

ホルモン補充周期で排卵を抑制している場合

ホルモン補充周期で胚移植を行う場合、通常は薬を使って自前の排卵を抑制し、ホルモン値をコントロールしています。
しかし、ごく稀に薬の効果が十分でなく、卵胞が育ってしまい排卵が起こることがあります。

このタイミングで性交渉を持つと、移植する胚とは別に自然妊娠が成立してしまう可能性があります。
その結果、双子などの多胎妊娠に至るリスクが高まります。
多胎妊娠は母体と胎児双方への負担が大きく、様々な合併症のリスクも上昇するため、クリニックでは基本的に避けるべきだと考えています。
このような予期せぬ妊娠を防ぐため、ホルモン補充周期では性交渉を控えるよう指示されることが一般的です。

体調に不安(出血や腹痛など)がある場合

移植周期中は、治療による影響で心身ともにデリケートな状態にあります。
そのため、不正出血や下腹部痛、おりものの異常など、少しでも体調に不安を感じる場合は、性交渉を控えるべきです。
これらの症状があるときに性交渉を行うと、症状が悪化したり、子宮収縮を助長したりする可能性があります。

また、体調が優れないときは体の抵抗力も落ちていることが多く、細菌感染のリスクも高まりかねません。
何よりもまずは自身の体調を整え、万全の状態で移植に臨むことが最優先です。
気になる症状がある場合は、性交渉の可否も含めて速やかに医師に相談し、指示を仰ぎましょう。

安心して移植日を迎えるための3つの過ごし方

凍結胚移植の成功率を高めるためには、移植前の過ごし方が非常に重要です。
性交渉の有無だけでなく、日々の生活習慣が心身のコンディションを左右し、ひいては子宮環境にも影響を与えます。

ストレスを溜めず、体を良い状態に保つことで、胚が着床しやすい環境を整えることができます。
ここでは、心身ともにリラックスし、万全の状態で移植日を迎えるために意識したい3つのポイントを紹介します。
特別なことではなく、普段の生活の中で少し意識するだけで実践できることばかりです。

ポイント1:激しい運動を避け、心身ともにリラックスする

移植前は、心身を落ち着かせることが大切です。
ジョギングや筋力トレーニングといった激しい運動は、交感神経を優位にし、子宮の血流を低下させる可能性があるため、避けた方が良いでしょう。
代わりに、ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、体が心地よく感じる程度の軽い運動を取り入れるのがおすすめです。

また、ストレスはホルモンバランスの乱れや血行不良の原因となります。
好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたり、ぬるめのお湯にゆっくり浸かったりと、自分がリラックスできる時間を作り、穏やかな気持ちで過ごすことを心がけてください。

ポイント2:栄養バランスの取れた食事で体を内側から整える

着床しやすい体を作るためには、日々の食事が基本となります。
特定の食品だけを食べるのではなく、様々な食材をバランス良く摂取することが重要です。
特に、体を温める作用のある根菜類や生姜、血行促進に役立つビタミンEが豊富なナッツ類やアボカド、そして子宮内膜の材料となる良質なタンパク質(肉、魚、大豆製品、卵など)を意識して摂ると良いでしょう。

一方で、アイスクリームや冷たい飲み物など体を冷やすもの、血流を悪くする可能性のあるカフェインやアルコールは、できるだけ控えることが望ましいです。
バランスの取れた食事で、体を内側から整えましょう。

ポイント3:質の高い睡眠を十分にとりコンディションを維持する

睡眠は、体の機能を回復させ、ホルモンバランスを整える上で非常に重要な役割を果たします。
睡眠不足が続くと、ストレスホルモンであるコルチゾールが増加し、免疫機能や生殖機能に悪影響を及ぼす可能性があります。

移植前は特に、毎日6~8時間程度の十分な睡眠時間を確保するよう努めてください。
また、時間だけでなく睡眠の質も重要です。
就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのをやめる、寝室を暗く静かな環境に整える、自分に合った寝具を使うなど、質の高い睡眠をとるための工夫を取り入れ、心身のコンディションを最適に保ちましょう。

凍結胚移植前の性交渉に関するよくある質問

ここまで凍結胚移植前の性行為について、時期の目安や着床率への影響、注意すべきケースなどを解説してきました。
しかし、まだ個別の疑問や不安が残っている方もいるかもしれません。
そこで、特に多くの方が抱きがちな質問をQ&A形式でまとめました。

移植直前や移植後のこと、自然周期でのリスクなど、具体的な疑問に簡潔に回答します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、不安解消の一助としてください。

Q1.移植の直前や当日の性交渉が推奨されないのはなぜですか?

子宮収縮や細菌感染のリスクを高めるためです。
オルガスムや精液の成分が子宮収縮を誘発し、着床を妨げる可能性があります。

また、感染症は子宮内環境を悪化させる一因となり、胚にとって良い環境ではなくなるため、移植の前日や当日は避けるべきとされています。

Q2.移植後の性交渉はいつから再開しても良いですか?

妊娠判定日まで控えるのが一般的です。
移植後は胚が着床し、妊娠が成立するまでの非常にデリケートな時期です。

子宮収縮や感染のリスクを避けるため、多くのクリニックでは妊娠が確認されるまで性行為を控えるよう指導しています。
陽性判定後も、医師の許可を得てから再開してください。

Q3.自然周期での移植の場合、多胎妊娠のリスクはありますか?

はい、リスクはあります。
自然周期では自身の卵胞が育ち排卵が起こるため、そのタイミングで性交渉を持つと自然妊娠する可能性があります。

そこに胚移植を行うと、双子(多胎妊娠)になることがあります。
予期せぬ多胎妊娠を避けるため、医師の指示に従うことが重要です。

まとめ

凍結胚移植前の性交渉は、一般的に移植日の2~3日前までが目安とされています。
これには、精液による免疫寛容といったメリットと、子宮収縮や感染症といったデメリットの両方を考慮した背景があります。

ただし、ホルモン補充周期の場合や医師から禁止されている場合など、状況によっては控えるべきケースも存在します。
最も重要なのは、通院しているクリニックの医師の指示に従うことです。
不明な点や不安なことがあれば、自己判断せずに必ず相談してください。
性交渉の有無だけに神経質になるのではなく、栄養バランスの取れた食事や質の良い睡眠、リラックスできる時間を大切にし、心身ともに最善のコンディションで移植日を迎えましょう。

この記事の監修者

峯岸 里美

峯岸 里美

本八幡鍼灸院 院長

日本鍼灸理療専門学校/学校法人花田学園卒業後、鍼灸院3年、鍼灸整骨院2年勤務後2008年6月株式会社ブレイシングに入社。
住吉鍼灸院で5年勤務した後2013年2月本八幡鍼灸院を開院し院長に就任。
開院から13年院長に従事。
不妊、男性不妊をメインに不妊に悩むご夫婦に貢献している。

《資格》

はり師、きゅう師

《経歴》

日本健康医療専門学校
住吉鍼灸院勤務
本八幡鍼灸院院長就任

《所属》

日本不妊カウンセリング学会

《SNS》

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