勃起障害編(ED)

勃起障害(ED)による夫婦生活にお悩みではありませんか?

 
勃起障害(ED)は「満足いく性行為に十分な勃起を達成できない、もしくは維持できないこと」と定義されています。
 
 日本人全体で軽度のEDを含めると1800万人を超えているといわれ、3人に1人がEDという割合です。
EDは決して40代以降の話ではなく20代でも起こりえます。ましてや近年急激な増加傾向にあり20代の若い世代の方が悩みは深く大きいのです。

今回はEDについて西洋医学的な観点と東洋医学的な観点の両方についてお話ししていきます。

そもそも勃起の仕組みって?

勃起の仕組みってわかっているようでそこまで考えたことはないのではないでしょうか?

勃起のメカニズムは意外に複雑です。
勃起が起こるには、神経や血管が正常に働き、また勃起に関わる様々な物質が放出されなくてはなりません。

勃起に特に関わるのは以下の4つです。

・陰茎海綿体
・陰茎深動脈
・ラセン動脈
・サイクリックGMP(グアノミレーリン酸)

※サイクリックGMPは体内で生産される自然の血管拡張剤

勃起に至るまでの流れ

①性的な刺激を受けると脳の中枢神経が興奮し、その情報が脊髄を通って陰茎に伝わる。
②体内では一酸化炭素が放出され勃起のGOサインが出される。
③一酸化炭素が放出されると陰茎深動脈ラセン動脈が緩み始める。
サイクリックGMPによって海綿体の平滑筋が弛緩する。
⑤一気に血が流れ込み血液の圧力によって海綿体が固くなり勃起に至る。
⑤勃起によって海綿体を覆う白膜が静脈を圧迫することで勃起が維持されます。

性的刺激→脳の中枢神経→脊髄から陰茎→一酸化酸素放出→陰茎深動脈とラセン動脈が緩む→サイクリックGMP増加→海綿体の平滑筋弛緩→海綿体に血が流れ込む→勃起

この流れのどこか一つでも問題が起きると上手な勃起ができなくなります。

EDの種類①ー心因性ED・器質性ED・混合性ED・薬剤性ED

EDには大きく分けると以下の4つがあります。

心因性EDストレスプレッシャーなどの心理的なことが原因で発症するED

器質性ED血管神経など身体の問題で発症するED

混合型ED心因性ED器質性EDが複合的に合わさって発症するED

薬剤性EDの副作用で生じるED

20~30代では心因性の割合が多く、40代以降では器質性や薬剤性の割合が高くなります。

EDの種類②ー血管・神経・内分泌・構造異常、精神疾患

EDの原因となる具体的な疾患は以下の通りです。

血管
動脈の閉塞硬化静脈漏出

神経
糖尿病性神経障害多発性硬化症、手術などによる神経損傷、脊髄損傷、前立腺炎脳卒中、てんかん

内分泌
テストステロン欠乏、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症

構造異常
→ペロニー病、尿道下裂、小陰茎

精神障害
うつ病、ストレス、不安、トラウマ

※1つずつ見てみると生活習慣の乱れによって引き起こされる病気が多くあることに気がつきます。生活習慣の改善がEDを予防する第1歩なのです。

勃起障害に対する現代医学的な鍼灸治療

勃起障害に対して現代医学的な鍼灸治療としては、
身体の血流をよくしたり、ストレスなどによって過剰になってしまった交感神経を落ちつかせる治療をします。

そのほかで効果的な治療として骨盤神経の一部でもある海綿体神経(勃起神経)に対して鍼やお灸で刺激を入れる治療が有効です。

勃起障害に対する東洋医学的な鍼灸治療

東洋医学では勃起障害のことを「陽萎」といいます。

原因としては以下の4つがあげられます。

〇房事過多・手淫過多(射精の過多)
〇思慮過度(心配事・思慮)
〇飲酒過度
〇恐・鬱・怒

射精のし過ぎ・性欲が強い・オナニーのし過ぎによる勃起障害

東洋医学では命門火衰(腎陽虚症)の状態です。

精子は腎精や命門の火といい人間の生命エネルギーを表しています。

SEXやオナニーにより精子を出しすぎるとその生命エネルギーがどんどん少なくなっていくのです。

勃起障害の他に腰痛、膝の無力感、耳鳴り、脱毛、歯のぐらぐら、寒がり、四肢の冷えなどを伴い、舌が少し大きく横の部分に歯の型がつくなどの症状が生じます。

治療は腎の気を補うこと!

東洋医学では『温補腎陽』という治療を行います。

下腹部や腰、足の裏、ふくらはぎの内側でアキレス腱の少し前の部分が腎に関わるところなので鍼やお灸によって温まるような治療を行います。

使うツボとしては、
関元、然谷、太渓、復溜、三陰交、気海、命門などです。

心配事が多い・思慮深いによる勃起障害

東洋医学では心脾両虚の状態です。

失恋すると胸がキューっとしたり、ご飯がのどを通らなかったしたことはありませんか?それに近い状態です。
何かを考えすぎたり勃起時の不安感が強すぎると、心と体のバランスが崩れていき、勃起障害が生じます。

勃起障害の他に動悸、息切れ、熱くないのに汗が出る、顔が黄色い、元気がない、無力感、食欲不振、腹満、泥状の便などを伴い、舌の色が淡くなります。

治療は心の血と脾の気を補うこと!

東洋医学では『補益心脾』という治療を行います。

お腹の真ん中や仙骨、脛や前腿、ふくらはぎの内側の骨の少し後ろ、掌から前腕にかけてに温まるような治療を行います。

使うツボとしては、
心兪、中髎、通里、神門、血海、地機、太白、三陰交などです。

飲酒過度・アルコールによる勃起障害

東洋医学では湿熱証の状態です。

お酒を飲むと浮腫んだり胃の内容物がなかなか動かないときはありませんか?余分な水分を東洋医学では湿といいます。その湿は生ごみや堆肥などが発酵によって自然発火するように湿も熱を生みます。その状態が湿熱症で血流や体の循環が悪くなり勃起障害を生じます。

勃起障害の他に、陰部に汗をかき痒みや痛みが出たり、尿が濃く量が少ないなどの症状も出ます。舌は黄色くなったりもします。

治療は体の湿熱を除くこと!

東洋医学では『清熱化湿』という治療を行います。

食生活を改善することはもとより、下腹部や膝回り、足首周りのツボを使い、湿熱を除去するような治療を行います。

使うツボとしては、
中極、太渓、陰陵泉、下巨虚などです。

驚き、恐怖、憂鬱、怒りなどの精神的な問題よる勃起障害

東洋医学では七情内傷(驚恐傷腎症)の状態です。

心脾両虚症はぼーっとして目に力がなくついついため息をついてしまうような状態に対して、七情内傷はそわそわ、びくびく、イライラして目をガン開きしているような状態です。タイミング療法などのプレッシャーによっても引き起こされます。それにり生命の根源である腎の気が損傷し勃起障害を生じてしまします。

勃起障害の他に、驚きやすく常に不安、元気がなく、眠りが浅い、夢を多く見る、平常時は勃起するが、性交時に勃起しないなどを伴います。

治療は精神的な安定を図ります!

東洋医学では『安神』という治療を行います。

ストレスやプレッシャーに感じていることの改善、リラックスできる時間を増やすことはもとより、うちくるぶし周りや掌から前腕にかけてのツボを使い副交感神経を優位にするような治療していきます。

使うツボとしては、
内関、曲沢、復溜、然谷などです。

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いかがでしたか??

勃起障害でも原因は様々です。
原因に対して治療すれば改善する可能性があるんですよ!?

執筆者:中嶋宝

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