生理が始まったにもかかわらず基礎体温が高いままで、妊娠検査薬で陽性反応が出ると、妊娠しているのか、それとも何か異常があるのかと不安になるかもしれません。
通常、生理が来ると基礎体温は下がりますが、高温期が続く場合は、妊娠のサインである着床出血や、化学流産、異所性妊娠(子宮外妊娠)などの可能性が考えられます。
また、妊娠していない場合でも、ホルモンバランスの乱れや体調不良が原因であることもあります。
この記事では、生理中に体温が下がらない原因や妊娠の可能性、病院を受診するタイミングの目安について詳しく解説します。
生理中に基礎体温が高いままなのはなぜ?妊娠の可能性と原因を解説
基礎体温は、排卵後に分泌される黄体ホルモンの影響で上昇し「高温期」となり、生理が始まるとホルモン分泌の低下とともに下がり「低温期」へ移行するのが一般的です。
しかし、生理のような出血があっても高温期が続く場合、体が妊娠を維持しようとしている状態や、ホルモンバランスの乱れ、あるいは何らかの病気が隠れている可能性があります。この状態は、正常な妊娠のサインであることもあれば、注意が必要なケースもあるため、原因を正しく理解することが大切です。
その出血は本当に生理?妊娠の可能性が考えられる3つのケース
生理予定日前後に見られる出血を「生理が来た」と思っても、基礎体温が高いままの場合は、それが通常の生理ではない可能性を考える必要があります。
特に妊活中の場合、その出血は妊娠に関連するサインかもしれません。
出血の量や色、続く期間などが普段の生理と異なる場合は、特に注意が必要です。
ここでは、高温期が続く中での出血について、妊娠の可能性が考えられる3つの代表的なケースを紹介します。
可能性①:妊娠成立のサインである「着床出血」
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる少量の出血のことです。
すべての妊婦に起こるわけではありませんが、生理予定日の数日前から予定日頃にみられることがあります。
特徴としては、出血量が普段の生理より少なく、ピンク色や茶褐色のおりもの程度であることが多いです。
また、出血期間も1〜3日程度と短い傾向にあります。
腹痛を伴うことは少なく、もし痛みがあっても生理痛よりは軽いことが一般的です。
この出血は妊娠が成立したサインの一つと考えられます。
可能性②:流産の兆候として現れる「切迫流産」による出血
切迫流産は、妊娠22週未満で流産の危険性が高い状態を指します。
この段階ではまだ妊娠は継続しており、赤ちゃんの心拍も確認できることが多いです。
主な症状として、少量の性器出血や下腹部痛、お腹の張りなどが挙げられます。
出血があったからといって必ずしも流産に至るわけではなく、安静に過ごすことで妊娠を継続できる場合も少なくありません。
しかし、自己判断は非常に危険です。
妊娠の可能性がある状況で出血が見られた場合は、速やかに産婦人科を受診し、医師の指示を仰ぐ必要があります。
可能性③:ごく初期の流産にあたる「化学流産」
化学流産は、受精はしたものの、子宮内膜への着床が維持できずに、超音波検査で胎嚢が確認される前に流産してしまう状態を指します。
妊娠検査薬では陽性反応が出た直後に、生理のような出血が起こることが特徴です。
基礎体温は出血とともに徐々に下がることが多いですが、すぐには低下しない場合もあります。
化学流産は全妊娠の30〜40%に起こるとされ、多くの場合は気づかれずに通常の生理として経過します。
医学的な処置は基本的に不要で、次の妊娠への影響もほとんどないとされています。
妊娠検査薬で陽性反応が出たのに出血が起こる理由
妊娠検査薬で陽性反応を確認した後の出血は、大きな不安を伴います。
しかし、陽性反応と出血が同時に見られる理由は一つではありません。
妊娠が正常に継続しているサインである場合もあれば、残念ながら流産や異常妊娠の兆候である可能性も考えられます。
妊娠検査薬が陽性になるのは、妊娠によって分泌されるhCGホルモンに反応するためです。
ここでは、陽性反応が出ているにもかかわらず出血が起こる主な理由を解説します。
妊娠が継続しておりhCGホルモンが分泌されているため
妊娠検査薬は、胎盤の一部となる組織から分泌される「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンを検知して陽性反応を示します。
着床出血や切迫流産のように、出血はあっても妊娠自体は継続している場合、hCGホルモンは体内で分泌され続けます。
そのため、妊娠検査薬は陽性を示し続けるのです。
つまり、出血イコール妊娠の終了というわけではなく、妊娠が正常に継続している過程で少量の出血が起こることもあります。
ただし、出血がある場合は自己判断せず、医師の診察を受けることが重要です。
化学流産の直後で体内にhCGホルモンが残っているため
化学流産が起こった場合、妊娠組織は体外へ排出され始めますが、体内で分泌されていたhCGホルモンがすぐに消失するわけではありません。
ホルモン濃度が完全に低下するまでには数日から1週間程度かかることがあります。
そのため、出血が始まってからも、体内に残っているhCGホルモンに妊娠検査薬が反応し、陽性を示すことがあるのです。
この場合、時間の経過とともにhCGホルモンは減少し、それに伴って基礎体温も徐々に下がっていき、妊娠検査薬もいずれ陰性へと変化します。
注意したい異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性
異所性妊娠(子宮外妊娠)は、受精卵が子宮内膜以外の場所、多くは卵管に着床してしまう異常妊娠です。
この場合も、着床によってhCGホルモンが分泌されるため、妊娠検査薬では陽性反応が出ます。
しかし、正常な妊娠ではないため、少量の出血や下腹部痛といった症状が続くことが多いです。
着床した組織が大きくなると卵管が破裂し、腹腔内で大量出血を起こす危険性があります。
命に関わる緊急性の高い状態のため、妊娠検査薬が陽性で、出血や強い腹痛がある場合は、ただちに医療機関を受診しなければなりません。
【妊娠ではない場合】生理が来ても基礎体温が下がらない原因
妊娠検査薬で陰性だったり、妊娠の心当たりがなかったりするにもかかわらず、生理が来ても基礎体温が下がらない場合は、妊娠以外の原因が考えられます。
基礎体温は女性ホルモンの影響を大きく受けるため、ホルモンバランスの乱れや婦人科系の疾患が隠れている可能性もあります。
また、風邪などの体調不良によって一時的に体温が上がっているだけのこともあります。
ここでは、妊娠以外の原因として考えられる主な要因について解説します。
黄体ホルモンの分泌に異常がある(黄体機能不全)
黄体機能不全とは、排卵後に卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の量が不足したり、分泌期間が短くなったりする状態です。
黄体ホルモンには子宮内膜を厚く保ち、基礎体温を上昇させる働きがあります。
このホルモンの分泌に異常があると、高温期が短くなる、途中で体温が下がる、あるいは生理が始まっても体温がスムーズに下がらないといった乱れが生じます。
黄体機能不全は不妊や流産の原因となることもあるため、基礎体温の乱れが続く場合は婦人科への相談を検討しましょう。
ストレスや生活習慣の乱れでホルモンバランスが崩れている
女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部や下垂体によってコントロールされており、自律神経の影響を強く受けます。
そのため、過度なストレス、睡眠不足、不規則な食生活、急激なダイエットなどは自律神経の働きを乱し、ホルモンバランスの乱れを引き起こす原因となります。
ホルモンバランスが崩れると、黄体ホルモンの分泌が不安定になり、生理周期が乱れたり、生理が来ても基礎体温がなかなか下がらなかったりすることがあります。
まずは心身を休め、生活習慣を見直すことが重要です。
風邪やその他の病気によって一時的に発熱している
基礎体温は非常にデリケートで、わずかな体調の変化にも影響されます。
風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると、免疫反応によって体温が上昇するため、基礎体温も高くなります。
生理のタイミングと体調不良が重なると、本来下がるはずの基礎体温が高いまま維持されることがあります。
また、子宮内膜症やその他の炎症性疾患によって微熱が続いている可能性も考えられます。
発熱や倦怠感など、他に気になる症状がある場合は、内科など適切な診療科の受診も必要です。
すぐに病院へ行くべき?受診タイミングを判断する基準
生理のような出血がありながら基礎体温が高いままだと、いつ病院に行くべきか迷うかもしれません。
症状によっては急を要する場合もあれば、少し様子を見てもよいケースもあります。
自己判断で放置してしまうと、深刻な事態につながる可能性もあるため、受診のタイミングを正しく見極めることが大切です。
ここでは、症状に応じた受診タイミングの目安を具体的に解説します。
出血が少量で腹痛もなければ、数日様子を見てから受診
出血が茶色やピンク色のおりもの程度でごく少量であり、下腹部痛などの他の症状が見られない場合は、着床出血の可能性があります。
この場合、緊急性は高くないため、数日間様子を見てもよいでしょう。
その後、出血が止まって高温期が続くようであれば、生理予定日の1週間後を目安に妊娠検査薬を使用し、陽性が出たら産婦人科を受診します。
ただし、出血が続いたり、痛みが出てきたりした場合は、様子を見ずに早めに受診してください。
生理よりも多い出血や激しい腹痛がある場合はすぐに医療機関へ
出血量が普段の生理よりも明らかに多い、鮮血が出る、レバーのような血の塊が混じる、耐えがたいほどの激しい下腹部痛を伴うといった症状がある場合は、切迫流産や進行中の流産、異所性妊娠などが疑われます。
これらの状態は緊急の対応が必要となる可能性があるため、様子を見るべきではありません。
診療時間外であっても、かかりつけの産婦人科や救急外来に連絡し、すぐに受診してください。
自己判断で様子を見ることは危険です。
異所性妊娠(子宮外妊娠)が疑われる危険な症状
異所性妊娠(子宮外妊娠)が進行し、卵管が破裂すると命に関わる危険な状態になります。
特に注意すべき危険なサインとして、突然の激しい下腹部痛(特に片側が痛む)、肩の痛み(放散痛)、めまい、吐き気、冷や汗、意識が遠のく感じなどが挙げられます。
これらの症状は、腹腔内で大量に出血している可能性を示唆しています。
一つでも当てはまる症状があれば、ためらわずに救急車を呼ぶなど、一刻も早く緊急の医療を受ける必要があります。
婦人科を受診する前に準備しておきたいことリスト
婦人科を受診する際は、自身の体の状態を正確に医師に伝えることが、適切な診断と治療につながります。
特に、基礎体温の変動や出血の状況は、原因を探るための非常に重要な情報です。
診察時に慌ててしまわないよう、事前に必要な情報を整理し、メモなどにまとめておくとスムーズです。
ここでは、婦人科を受診する前に準備しておくと良い項目をリストアップして紹介します。
基礎体温の記録をグラフなどで分かりやすく整理しておく
基礎体温の記録は、排卵が正常に起きているか、ホルモンバランスはどうかなどを判断するための客観的なデータとなります。少なくとも3周期分の記録があると、医師は周期全体を通した体温の変化を把握しやすくなります。
スマートフォンのアプリで記録している場合はその画面を、手書きの場合はグラフ化したものを持参しましょう。低温期と高温期の二相に分かれているか、高温期がどのくらい続いているかなど、体温の推移が一目でわかる形に整理しておくことが理想的です。
出血が始まった日・量・色などの詳しい情報を伝える
出血の状態は、診断を下す上で非常に重要な手がかりとなります。
「いつから出血が始まったか」「何日間続いているか」「量は普段の生理と比べて多いか、少ないか」「色は鮮やかな赤色か、茶褐色か」「レバーのような血の塊は混じっているか」といった情報を具体的に伝えられるようにまとめておきましょう。
ナプキンを交換する頻度(例:1時間に1回、など)を伝えると、医師が出血量を客観的に把握しやすくなります。
些細なことと思っても、できるだけ詳しく伝えることが大切です。
いつから症状があるか、最終月経日などを正確に伝える
問診では、現在の症状だけでなく、基本的な月経の情報も必ず聞かれます。
出血や腹痛などの症状がいつから始まったかに加え、「最終月経の開始日」「普段の月経周期(何日型か)」「月経の日数や量」などを正確に答えられるように確認しておきましょう。
また、過去の妊娠・出産・流産の経験や、治療中の病気、服用している薬などについても聞かれるため、事前に情報を整理しておくと診察がスムーズに進みます。
これらの情報は、原因を特定し、適切な診断を行うための基本となります。
生理が来たのに体温が下がらないことに関するよくある質問
生理中に高温期が続くという経験は、多くの女性にとって不安なものです。
妊娠の可能性や体の異常について、さまざまな疑問が浮かぶことでしょう。
ここでは、そのような状況に関して多く寄せられる質問と、それに対する回答をまとめました。
ご自身の状況と照らし合わせながら、参考にしてください。
化学流産だった場合、次の妊活に影響はありますか?
化学流産はごく初期の流産であり、通常、次の妊活や妊娠に影響を及ぼすことはありません。
特別な治療は必要なく、多くの場合、次の排卵も普段通りの周期で起こります。
ただし、化学流産を何度も繰り返す場合は、不育症の可能性も考えられるため、一度医師に相談することをおすすめします。
生理と同じくらいの出血量でも妊娠している可能性はありますか?
可能性は低いですが、ゼロではありません。
絨毛膜下血腫など、妊娠が継続していても子宮内で出血が起こり、生理と同じくらいの出血量になることがあります。
自己判断は危険なため、妊娠検査薬で陽性が出ている、または妊娠の可能性がある場合は、出血量に関わらず必ず産婦人科を受診してください。
妊娠していなかった場合、基礎体温はいつ下がるのが正常ですか?
妊娠していない場合、通常は生理が始まると黄体ホルモンの分泌が急激に減少し、基礎体温は1〜3日かけてスムーズに低温期へ移行します。
生理が始まってから4日以上経っても体温が下がらない場合は、ホルモンバランスの乱れや何らかの体調不良が考えられるため、一度婦人科で相談しましょう。
まとめ
生理が来たのに基礎体温が下がらない場合、その原因は一つではありません。
妊娠のサインである着床出血や、化学流産、注意が必要な異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性が考えられます。
一方で、妊娠していなくても、黄体機能不全やストレスによるホルモンバランスの乱れ、風邪などの一時的な体調不良が原因であることもあります。
出血量や腹痛の有無など、自身の症状を注意深く観察し、特に普段の生理と違う点や強い痛みがある場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診することが重要です。








