不妊治療で用いられるクロミッドを服用しても、卵胞が育たないと不安に感じるかもしれません。
卵胞が育たない原因は、ホルモンバランスの乱れや多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、加齢など、さまざまです。
この記事では、クロミッドで卵胞が育たない場合に考えられる原因と、今後の治療ステップ、そして自分自身で取り組める生活習慣の改善について解説します。
原因を理解し、次の治療法を検討するための一助としてください。
クロミッドを飲んでも卵胞が育たない…考えられる5つの原因
クロミッドを服用しても卵胞が育たない背景には、いくつかの原因が考えられます。
排卵障害の根本的な要因が脳からの指令にあるのか、卵巣そのものにあるのかによって、治療への反応も変わってきます。
無排卵や無排卵月経の状態が続く場合は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や加齢による卵巣機能の低下、ストレスなども影響している可能性があります。
ここでは、考えられる主な5つの原因について詳しく見ていきます。
原因1:脳からのホルモン分泌が不足している
卵胞の発育は、脳の視床下部と下垂体から分泌されるホルモンによってコントロールされています。
しかし、何らかの理由でこれらのホルモン分泌が不足すると、卵巣に「卵胞を育てなさい」という指令が届きにくくなります。
クロミッドは、脳に働きかけてホルモン分泌を促す薬ですが、そもそも脳からの指令系統に強い問題がある場合、十分な効果が得られないことがあります。
この場合、一度生理を起こしてホルモン環境をリセットしたり、より直接的に卵巣を刺激する治療法への変更が検討されることになります。
原因2:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性がある
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣内で多数の小さな卵胞が発育するものの、主席卵胞(排卵する卵胞)がうまく育たない状態を指します。
PCOSの診断基準は主に3つあり、月経異常、多嚢胞卵巣、男性ホルモンの高値またはLH(黄体形成ホルモン)高値が挙げられます。
PCOSの場合、クロミッドに反応しにくいことがあり、薬の量を調整したり、インスリン抵抗性を改善する薬を併用したり、他の排卵誘発剤への変更が必要になることがあります。
根本的な原因に応じた治療法の選択が重要です。
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原因3:加齢にともなう卵巣機能の低下
年齢とともに卵子の質が低下し、卵巣機能が衰えると、卵胞の育ちが悪くなることがあります。
特に30代後半以降は、卵胞が育つスピードが遅くなったり、途中で発育が止まってしまったりするケースが増加します。
卵胞の育ちが遅い場合でも、最終的に成熟して排卵に至れば妊娠の可能性はありますが、育っても質が伴わない「空胞」である可能性も考慮しなくてはなりません。
加齢による卵巣機能の低下が見られる場合、より強力な排卵誘発法や、体外受精などの高度生殖医療へのステップアップが検討されます。
原因4:心身のストレスによるホルモンバランスの乱れ
過度なストレスや疲労、急激な体重減少は、脳の視床下部に影響を与え、ホルモンバランスを乱す原因となります。
視床下部はホルモン分泌を司る司令塔であり、強いストレスを受けると機能が低下し、結果的に卵巣への指令が正常に伝わらなくなります。
これにより、生理不順や排卵障害を引き起こし、クロミッドを服用しても卵胞が育ちにくくなることがあります。
不妊治療自体がストレスになることもありますが、リラックスできる時間を作り、心身を休ませることも治療の一環として重要です。
原因5:薬への抵抗性ができてしまった
クロミッドを長期間にわたって服用し続けると、体が薬に慣れてしまい、効果が出にくくなる「クロミッド抵抗性」という状態になることがあります。
また、クロミッドの副作用として、子宮内膜が薄くなったり、頸管粘液が減少したりすることが知られています。
これらの副作用は、受精卵の着床を妨げる要因になり得ます。
数周期にわたってクロミッドで効果が見られない場合は、薬への抵抗性や副作用の影響を考慮し、他の薬剤への変更や治療法の切り替えを医師と相談することが一般的です。
クロミッドが効かない場合の今後の治療ステップ
クロミッドを服用しても卵胞が育たない場合、治療が停滞していると感じてしまうかもしれませんが、次の選択肢は複数存在します。
医師は、個々の体の状態や反応を見ながら、薬の量を調整したり、作用の異なる薬剤に変更したり、より直接的なアプローチである注射に切り替えたりします。
それでも効果が得られない場合は、体外受精などの高度生殖医療に進むことも視野に入ってきます。
ここでは、一般的な治療のステップアップについて解説します。
ステップ1:クロミッドの服用量を増やす・服用開始日を変える
クロミッドの効果が不十分な場合にまず検討されるのが、服用量の調整です。
一般的には1日50mgから開始しますが、反応が見られない場合は100mg、場合によっては150mgまで増量することがあります。
ただし、増量に伴い子宮内膜が薄くなるなどの副作用のリスクも高まるため、医師が超音波検査で卵胞や子宮内膜の状態を確認しながら慎重に進めます。
また、服用を開始する日を月経周期3日目から5日目に変更するなど、タイミングを調整することで卵胞の発育が改善されるケースもあります。
ステップ2:他の排卵誘発剤(レトロゾールなど)を試す
クロミッドで効果が見られない場合や、子宮内膜が薄くなる副作用が懸念される場合には、レトロゾール(商品名:フェマーラ)などのアロマターゼ阻害薬が選択肢となります。
レトロゾールはクロミッドとは異なる作用機序で排卵を誘発し、特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者に対して有効性が高いとされています。
また、クロミッドに比べて子宮内膜を薄くする副作用が少なく、双子などの多胎妊娠のリスクも低い傾向にあります。
医師と相談し、自身の状態に適した薬剤を検討することが大切です。
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ステップ3:排卵誘発注射(ゴナドトロピン療法)へ切り替える
経口薬で十分な効果が得られない場合、hMGやFSH製剤といった注射薬を使用するゴナドトロピン療法に移行します。
この治療法は、脳を介さずに直接卵巣に働きかけて卵胞の発育を促すため、経口薬よりも強力な排卵誘発効果が期待できます。
ただし、複数の卵胞が同時に育ちやすくなるため、卵巣過剰刺激症候群のリスクや多胎妊娠の可能性が高まります。
そのため、定期的な超音波検査とホルモン値の測定で、卵巣の状態を慎重にモニタリングしながら治療を進める必要があります。
ステップ4:体外受精や顕微授精を視野に入れる
排卵誘発剤の内服や注射を行っても良好な排卵が得られない場合や、他の不妊要因(卵管因子、男性因子など)が重なっている場合には、体外受精や顕微授精といった高度生殖医療(ART)へのステップアップが検討されます。
体外受精では、排卵誘発注射で育てた卵子を体外に取り出し、精子と受精させてから子宮内に戻します。
この方法は、排卵障害だけでなく、受精や着床のプロセスをサポートすることができるため、妊娠の可能性を高めることが期待できます。
医師と今後の治療方針について十分に話し合い、納得した上で次のステップに進むことが重要です。
卵胞を育てるために自分でできる3つの生活習慣
不妊治療は専門的な医療アプローチが中心ですが、妊娠しやすい体づくりの基盤となる生活習慣を整えることも非常に重要です。
特に食事、運動、睡眠は、ホルモンバランスを安定させ、血行を促進し、卵巣機能の向上をサポートします。
治療と並行して日々の生活を見直すことで、心身ともに良いコンディションを保ち、治療効果を高めることにつながる可能性があります。
ここでは、今日から始められる3つの生活習慣について紹介します。
栄養バランスの取れた食事で体を内側から整える
卵胞が育つためには、その材料となる栄養素が不可欠です。
特定の食品だけを摂取するのではなく、主食・主菜・副菜をそろえ、バランスの良い食事を心がけることが基本となります。
特に、良質なたんぱく質、ビタミン、ミネラルを豊富に含む緑黄色野菜や果物を積極的に取り入れましょう。
また、体を冷やす冷たい飲食物は避け、温かいスープや飲み物で体を内側から温めることも血行促進につながります。
インスタント食品や過度な糖質は避け、体の基本となる栄養をしっかりと補給することが大切です。
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適度な運動で全身の血行を促進する
全身の血流を良くすることは、卵巣に必要な栄養素やホルモンを届ける上で非常に重要です。
激しい運動はかえってストレスになる可能性があるため、ウォーキングやヨガ、ストレッチといった、心地よいと感じる程度の有酸素運動を継続的に行うのがおすすめです。
特にデスクワークなどで長時間同じ姿勢でいることが多い場合は、意識的に体を動かし、骨盤周りの血行を促進させましょう。
適度な運動はストレス解消にもつながり、ホルモンバランスを整える助けになります。
無理のない範囲で、日常生活に運動を取り入れる習慣をつけましょう。
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質の高い睡眠でホルモンバランスを安定させる
睡眠は、心身の疲労を回復させるだけでなく、ホルモンバランスを整える上で極めて重要な役割を果たします。
睡眠中に分泌されるメラトニンというホルモンは、卵子の質の向上にも関わっているとされています。
毎日決まった時間に就寝・起床する習慣をつけ、体内時計を整えましょう。
また、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は、ブルーライトが脳を覚醒させ、睡眠の質を低下させる原因となります。
リラックスできる環境を整え、最低でも6〜7時間の質の高い睡眠を確保するよう心がけることが、ホルモン分泌の正常化につながります。
クロミッドで卵胞が育たないことに関するよくある質問
クロミッドを服用しても卵胞が育たないと、「このまま妊娠できないのではないか」と多くの不安や疑問が浮かぶものです。
同じような状況にある人がどう乗り越えたのか、自分の状態は一般的なのかなど、気になる点は多いでしょう。
ここでは、治療を進める中で多くの方が抱える質問とその回答をまとめました。
医師に相談する前の情報整理や、心の準備として参考にしてください。
Q1. クロミッドが効かない周期があっても、次の周期で育つことはありますか?
はい、あります。
その周期の体調やストレスレベルによって、薬への反応は変わることがあります。
クロミッドが効かなかった周期があっても、次の周期では生活習慣の改善や心身のリフレッシュによって、卵胞が順調に育つ可能性は十分にあります。
医師と相談し、継続するか治療法を見直すか判断しましょう。
Q2. 卵胞の育ちが遅い場合、妊娠する可能性は低いのでしょうか?
一概に低いとは言えません。
卵胞が育つスピードには個人差があり、ゆっくりでも最終的に適切な大きさまで成熟して排卵すれば、妊娠の可能性はあります。
大切なのは育つ速さよりも、排卵時の卵子の質です。
医師が超音波で発育状況をしっかり確認してくれるので、焦らず見守ることが重要です。
Q3. 治療法を変更する場合、どのタイミングで医師に相談すべきですか?
クロミッドを2〜3周期試しても卵胞が育たない場合や、副作用を強く感じる場合は、治療法変更の相談に適したタイミングです。
また、期間にかかわらず、治療に対する不安や疑問を感じたらいつでも相談して問題ありません。
自分の気持ちや体の状態を正直に伝え、納得のいく治療方針を一緒に決めていくことが大切です。
まとめ
クロミッドを服用しても卵胞が育たない原因には、ホルモン分泌の不足、PCOS、加齢による卵巣機能の低下、ストレス、薬剤への抵抗性など、さまざまな要因が考えられます。
効果が見られない場合でも、薬の量を調整したり、レトロゾールや排卵誘発注射へ変更したり、体外受精を視野に入れるなど、次の治療ステップが存在します。
治療と並行して、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、質の高い睡眠といった生活習慣を見直すことも、妊娠しやすい体づくりをサポートします。
不安な点は医師とよく相談し、自身に合った治療法を見つけていくことが重要です。
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