多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の明確な原因は、現在のところ完全には解明されていません。
しかし、仕事など日常生活における過度なストレスは、自律神経やホルモンのバランスを乱し、症状の発症や悪化に影響を与える可能性があります。
この記事では、多嚢胞性卵巣症候群とストレスの関係性について、そして日常生活で実践できるセルフケアや改善方法をわかりやすく解説します。
過度なストレスは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を悪化させる可能性がある
過度なストレスは、脳の視床下部や下垂体の働きに影響を及ぼし、ホルモンバランスの乱れを引き起こします。
これにより、卵巣からの男性ホルモンの分泌が過剰になることがあります。
PCOSの患者では、男性ホルモンの一種であるテストステロンの血中濃度が高い傾向にあり、これを高アンドロゲン血症と呼びます。
ストレスによってテストステロン値がさらに上昇すると、排卵障害や月経不順といったPCOSの症状が悪化する可能性があります。
多嚢胞性卵巣症候群の症状が引き起こす精神的な負担
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がもたらす症状は、身体的なものだけでなく、精神的にも大きな負担となります。
月経不順や不妊への不安、ニキビや多毛といった外見上の変化は、自己肯定感の低下や将来への心配につながりかねません。
実際に、PCOSの女性はうつ病や不安障害を抱える割合が高いという報告もあり、症状とストレスが悪循環に陥るケースも少なくありません。
心身両面からのケアが求められます。
終わりの見えない月経不順がさらなるストレスに
多嚢胞性卵巣症候群における月経不順は、「次の生理がいつ来るか予測できない」という点で大きなストレス要因となります。
生理が早まる理由とは?ストレスや病気、妊娠の可能性と受診目安
数ヶ月、時には3ヶ月以上も生理が来ない無月経の状態や、排卵が起こらない無排卵周期は、特に妊娠を希望する女性にとって深刻な悩みです。
旅行や仕事の計画が立てにくいといった日常生活の不便さに加え、「自分の身体はどうなってしまうのだろう」という漠然とした不安感が常に付きまといます。
この精神的な負荷が、さらにホルモンバランスを乱し、症状を悪化させる悪循環を生み出すことがあります。
ニキビや多毛といった外見の変化による悩み
多嚢胞性卵巣症候群では、男性ホルモンの影響で皮脂の分泌が過剰になり、大人ニキビができやすくなります。
特に、これまで肌トラブルと無縁だった人が、急に顔や背中に治りにくいニキビが増えることは、大きな精神的苦痛を伴います。
また、口周りや腕、脚などの体毛が濃くなる多毛の症状も、女性としての自信を失わせる一因です。
これらの外見の変化は、人との対面を避けがちになったり、自己肯定感を低下させたりするなど、社会生活を送る上でのストレスを増大させることがあります。
今日から始められる多嚢胞性卵巣症候群のストレス対策5選
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状を和らげるためには、ホルモンバランスを整えることが重要です。
そのためには、ストレスを上手にコントロールする生活習慣が欠かせません。
特別なことではなく、日々の暮らしの中で少し意識を変えるだけで実践できる対策は数多く存在します。
ここでは、思春期である10代の方からでもすぐに始められる、心と体の負担を軽くするための具体的なストレス対策を5つ紹介します。
栄養バランスを考えた食事で心身を整える
偏った食生活は、血糖値の乱高下や栄養不足を招き、心身のストレスを増大させます。
特にPCOSでは、インスリン抵抗性が関係している場合が多いため、血糖値を急激に上げない食事が推奨されます。
極端なカロリー制限を行うダイエットは、かえってストレスの原因となるため避けましょう。
野菜やきのこ、海藻類から食物繊維をしっかり摂り、肉や魚、大豆製品などの良質なたんぱく質を組み合わせることが基本です。
三食をなるべく決まった時間に摂ることで、生活リズムが整い、ストレスの軽減につながります。
女性ホルモンを増やす食べ物・飲み物とは?更年期や不妊対策の食事
ウォーキングなど軽めの運動を習慣にする
適度な運動は、ストレス解消に非常に効果的です。
特に、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングといったリズミカルな有酸素運動は、気分転換を促す神経伝達物質であるセロトニンの分泌を活性化させます。
また、運動によって血行が促進されると、自律神経のバランスが整いやすくなります。
PCOSの症状緩和に有効とされる体重管理や、インスリン抵抗性の改善にも運動は役立ちます。
無理に激しいトレーニングをする必要はなく、まずは週に2〜3回、30分程度のウォーキングから始めて、心地よいと感じるペースで続けることが重要です。
妊活中の筋トレ|効果を高めるおすすめ運動と逆効果になるNG例
質の高い睡眠でホルモンバランスを安定させる
睡眠不足は、自律神経の働きを乱し、ホルモンバランスを崩す直接的な原因となります。
私たちの体は、睡眠中に疲労を回復させ、さまざまなホルモンを分泌して体の調子を整えています。
そのため、十分な睡眠時間を確保し、その質を高めることは、PCOSの症状を安定させる上で不可欠です。
特に、無月経など月経周期の乱れに悩んでいる場合、規則正しい睡眠リズムを作ることで、ホルモン分泌の正常化が期待できます。
就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、寝室を暗く静かな環境に整えるなど、リラックスして眠りにつける工夫を取り入れましょう。
ヨガや瞑想でリラックスできる時間を作る
日々の生活の中で、意識的に心と体を休ませる時間を持つことは、ストレス管理において非常に大切です。
ヨガや瞑想は、深い呼吸を繰り返すことで、交感神経の興奮を鎮め、心身をリラックスさせる副交感神経を優位にします。
この自律神経のバランス調整は、ストレスによるホルモンバランスの乱れを整えるのに役立ちます。
また、PCOSによる将来への漠然とした心配から不安障害に近い状態にある場合でも、瞑想を通じて自分の内面と向き合うことで、心を落ち着かせ、前向きな気持ちを取り戻すきっかけになるでしょう。
信頼できる人に悩みを打ち明けてみる
多嚢胞性卵巣症候群の症状や不妊への不安は、非常にデリケートな問題であり、一人で抱え込みがちです。
しかし、パートナーや家族、親しい友人など、心から信頼できる人に自分の気持ちを話すだけで、精神的な負担は大きく軽減されます。
悩みを言葉にして誰かに伝えることで、自分の感情が整理され、問題を客観的に捉え直すことができます。
一人で悩みを抱え込む孤立感は、うつ状態を深刻化させる要因にもなり得ます。
誰かに話を聞いてもらう勇気を持つことが、心の健康を保つための第一歩です。
不妊治療をやめたら自然妊娠する5つの理由とは?ストレスとの関係も解説
セルフケアで改善しない場合は専門家への相談も検討しよう
食事や運動などのセルフケアを続けても、月経不順が改善しない、あるいはニキビなどが急に悪化したと感じる場合は、一人で悩まず専門家に相談しましょう。
まずは婦人科を受診し、現在の状態を正確に診断してもらうことが基本です。
その上で、体質改善を目指す漢方外来や鍼灸、ストレスが特に強い場合には心理カウンセリングなど、西洋医学とは異なるアプローチを併用することも有効な選択肢となります。
自分に合った方法を見つけるために、さまざまな専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。
多嚢胞性卵巣症候群とストレスに関するよくある質問
ここでは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とストレスの関係について、多くの方が疑問に思う点を取り上げます。
仕事と症状の関連性、体重管理の効果、そして症状を放置した場合に考えられる将来的なリスクについて、わかりやすく回答します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、今後の対策を考える上での参考にしてください。
Q1.仕事のストレスがひどい場合、辞めたらPCOSは改善しますか?
退職が必ずしも改善に直結するとは限りません。
仕事のストレスが症状の大きな原因であれば、環境を変えることで心身の負担が減り、症状が和らぐ可能性はあります。
しかし、PCOSの原因は複合的であるため、まずは休職や部署異動なども含めて、ストレス源から距離を置く方法を検討し、医師に相談することが賢明です。
Q2.多嚢胞性卵巣症候群は痩せたら治るというのは本当ですか?
肥満傾向のある方の場合、適切なダイエットによる減量で、排卵や月経周期が改善することはあります。
体重が減少することで、PCOSの一因であるインスリン抵抗性が改善され、ホルモンバランスが整いやすくなるためです。
ただし、痩せ型の方でもPCOSを発症するため、痩せることが根本的な治療法というわけではありません。
Q3.多嚢胞性卵巣症候群を放置するとどのようなリスクがありますか?
長期間の無排卵状態を放置すると、子宮内膜が厚くなり続け、将来的に子宮体がんのリスクが高まります。
また、インスリン抵抗性を背景に持つことが多いため、2型糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病の発症リスクも上昇します。
不妊症の直接的な原因にもなるため、早期の診断と定期的な婦人科受診が重要です。
まとめ
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の直接的な原因は未解明ですが、仕事のプレッシャーなど慢性的なストレスがホルモンバランスを乱し、症状を悪化させる一因となり得ます。
また、月経不順や不妊、外見の変化といった症状そのものが精神的負担となり、さらなるストレスを生む悪循環に陥ることも少なくありません。
このため、PCOSの管理においては、医療機関での治療と並行して、ストレスを軽減するためのセルフケアが重要な役割を果たします。
食事や運動、睡眠といった生活習慣の改善で心身のバランスを整え、それでも改善が難しい場合は、婦人科以外の専門家の力も借りるなど、多角的なアプローチを検討することが求められます。
↓こちらの記事を読まれた方はこちらも読まれています。↓








