PMSと月経困難症の改善術:専門家が明かす効果的なアドバイス
月経前症候群:PMSとは
生理前に現れる心や身体の不調のことで、生理が来ると症状が寛解もしくは消失するのが特徴です。
PMSの症状
PMSの症状は様々なものがあります。大きく分けると精神神経的な症状と自律神経的症状と身体的症状の3つに分けることが出来ます。
精神神経症状
精神神経的症状はPMSの中で最もしんどく、自己肯定感を損ない、悪循環に陥る症状といえます。自分が自分じゃないように感じる人も少なくありません。
情緒不安定
PMSでなくても、ホルモンバランスの変化から情緒が乱れることがあります。PMSの方はさらに激しく情緒が不安定になってしまい周囲の人を困らせてしまうこともあります。
イライラ
生理の痛みや、情緒の不安定によってイライラしてしまう方も多いです。野生動物は妊娠中や出産後子どもを守るため攻撃的になりますが、人間もその本能を残しております。
抑うつ
毎月毎月繰り返すPMSによって抑うつになってしまう事も多いです。自分自身を否定してしまったり、好きだったものに興味を示さなくなってしまいます。
不安
PMSによる痛みや精神症状によって自分が壊れていくような感覚の方もいます。また、一生この症状が続くのではないかという不安を持つ方も多いです。
眠気
ホルモンバランスの乱れによって、常に眠気を感じてしまったり、夜寝られず昼間眠い方もいます。眠気がさらにイライラや不安にも繋がり悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。
集中力の低下
PMSの痛みやイライラ、ソワソワによって集中力が低下します。また、血液が子宮に溜まることにより脳の血流量が低下するのも原因の1つです。
睡眠障害
痛みや不安により寝つきが悪くなりやすく、それに付随して睡眠も浅くなってしまい、睡眠障害を引き起こします。これが常習的になることで月経前でなくても睡眠障害になることもあるので注意が必要です。
自律神経症状
自律神経症状は自分ではコントロールすることが出来ない身体の機能が障害を受け、症状として現れます。
食欲不振
生理前に分泌が高まるプロゲステロンの作用によって、胃腸の働きが鈍くなり食欲不振を起こします。便秘やお腹の張りを感じる方もいます。
過食
プロゲステロンは実は胃腸の調子を鈍くしますが、食欲を増進させてしまう働きもある大切で厄介なホルモンです。特に甘いものを食べたくなってしまう方が多く、血糖値の乱高下により更にPMSの症状を強くしてしまいます。
めまい
プロゲステロンは身体に水分を溜め込む作用もあるため、その溜め込まれた水分が内耳にも溜まりめまいを引き起こすこともあります。
倦怠感
月経前には多くの栄養素が子宮に集められるため、ビタミンやミネラルが不足することがあります。それにより倦怠感が生じることがあります。
身体的症状
月経前には多くの方が何かしらの身体的症状を自覚するのではないでしょうか?ホルモンバランスが引き起こす身体的症状は以下のものがあります。
腹痛
生理前はプロゲステロンによって水分が身体の中に蓄えられますが、その際腸内も浮腫んでしまいます。それによりガスなどが溜まりやすくなり痛みを感じることがあります。
頭痛
月経前は片方だけが痛くなる片頭痛が起こりやすいです。月経前はエストロゲンの分泌が低下するため、血管の収縮と拡張が生じて頭痛が起こりやすくなります。
腰痛
月経直前はプロスタグランジンという物質が出て、子宮を収縮させ月経血をスムーズに押し出そうとします。プロスタグランジンは血管を収縮させる作用もあるため腰部の血管が細くなり神経の脱水や冷えにより痛みが生じることがあります。
むくみ
月経前はプロゲステロンによって身体に水分を溜め込もうとするため全体が浮腫んでいきます。赤ちゃんに栄養を送るため身体に水分や栄養を溜め込もうとする生理反応ですが過剰に浮腫むと痛みやだるさがでることがあります。
お腹の張り
お腹の張りはプロゲステロンによって溜め込まれた水分により腸内が浮腫みガスが溜まることでお腹が張ります。
乳房の張り
乳房の張りもプロゲステロンによる水分の溜め込む作用によって乳房が浮腫むことが原因です。プロゲステロンが低下していくにつれて自然と張りも落ち着いて来ます。
PMSの原因
排卵から月経までの高温期に、エストロゲンとプロゲステロンが多く分泌されます。 この高温期の後半にエストロゲンとプロゲステロンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。
婦人科クリニックでの治療法
PMSは、明確な診断基準はありません。 婦人科などでは、まずカウンセリングや生活指導、運動療法などが行われますが、薬物による治療が必要な場合は、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬などのホルモン療法薬で症状をやわらげます。
カウンセリング
月経前症候群の症状の中でも抑うつ気分やイライラ、不安等の精神症状が強く出る場合は、カウンセリングにて病状を理解・整理し、症状緩和につなげることが可能です。また、PMSは生活習慣に起因している部分があるのでどこが障害になっているのか一緒に探っていきます。
運動療法
PMSの方には、ウォーキング・ジョギング・水泳などの有酸素運動がオススメです。 有酸素運動は新陳代謝を活発にしたり副交感神経を優位にしてリラックス効果を高める働きがあります。 また、運動を15分以上続けると、脳から快楽物質のβエンドルフィンというホルモンが分泌されて爽快な気分になります。
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬
この薬は、低用量経口避妊薬とほぼ同じ成分でありますが、低用量経口避妊薬は避妊を目的とした医薬品のため自由診療が適用されます。一方で、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬は月経困難症や子宮内膜症、月経前症候群などに伴う疼痛に対して治療を目的として作られているため保険適用となります。
漢方薬
漢方薬はその人の体質も考慮して処方するため、症状だけでは判断できませんが、代表的なものは以下のとおりです。
・イライラを抑えたいなら、加味逍遥散・桃核承気湯・抑肝散加陳皮半夏。
・肩こり・頭重を緩和したい人には、桂枝茯苓丸。
・疲れ・だるさを感じやすい人には、補中益気湯。
・むくみが気になる場合には、当帰芍薬散・五苓散。
鎮痛剤
ロキソニンやボルタレンなどが代表的です。鎮痛剤は痛くなってから服用するよりも、痛くなる前に早め早めの服用が効果的です。
PMSの診断方法
PMSは決められた基準がありませんが、月経前に何らかの症状があり、月経とともに寛解・消失する場合PMSと診断されます。
PMSが治りづらい理由
PMSのクリニックでの治療は対症療法しかありませんので、根本的な治療というのが出来ないのが治りづらい理由の1つです。
PMSが治る理由
PMSはストレスや生活習慣に起因していることが大きいので、それら2つを改善できれば治る可能性があります。薬に頼りすぎず少しでもストレスの影響を減らし、生活習慣を整えることが重要です。
PMSを放置すると
PMSは放置するとPMDDに進行するなど、女性の体調や日常生活に大きな影響を与えることがあります。 不快な症状に悩んでいる人は進行する前にきちんと治しましょう。
月経困難症とは
月経困難症とは月経期間中に、月経に随伴して起こる病的症状をいいます。 月経困難には月経に伴う疼痛=月経痛だけでなく、頭痛、嘔吐、下痢や気分変動といった様々な随伴症状も含まれます。
月経困難症の症状
月経困難症の症状もPMS同様身体的症状や精神的症状。引き起こすことがあります。
下腹部痛
月経困難症の痛みの原因は、月経血を押し出すために子宮を収縮させる働きのあるプロスタグランジンの過剰分泌です。プロスタグランジンによって強く収縮させられた子宮が下腹部痛の原因となります。
腰痛
腰痛もプロスタグランジンの影響により強く収縮した子宮の関連痛です。
お腹が張る
生理前にプロゲステロンの作用により腸が浮腫んだことによるものと考えられます。腸の浮腫によって便が動かなかったり、ガスが溜まるのが原因です。
吐き気
プロスタグランジンは子宮のみならず胃腸の収縮にも作用します。胃腸の働きが急に亢進することにより吐き気が伴うと考えられます。
頭痛
プロスタグランジンが血液中に循環することにより頭痛が起こります。また、月経により自律神経が乱れ血管運動が過剰になり起こることもあります。
疲労
ホルモンバランスの乱れにより、自律神経のコントロールができず血流の流れが悪くなったことにより、疲労物質が処理できず溜まりやすくなっていると考えられます。
脱力感
脱力感もホルモンバランスや自律神経の乱れに付随します。自律神経が乱れるとセロトニンという物質が出辛くなり脱力感を感じたりします。
食欲不振
プロゲステロンが溜め込んだ水分によって腸が浮腫むことにより食欲不振になってしまったり、プロスタグランジンによる急な胃腸の収縮により食欲不振になることがあります。
イライラ
自律神経が乱れホルモンバランスが乱れると情緒にも影響します。それによりイライラなどの症状がでます。
下痢
プロゲステロンが溜め込んだ水分を、プロスタグランジンによる胃腸の収縮で出している状態と考えられます。下痢止めは使わずに、自然に排便することが良いでしょう。
憂うつ
自律神経の乱れによりホルモンバランスが乱れたことにより、気分の落ち込みや憂うつ状態になってしまいます。
月経困難症の原因
子宮の内膜から出されるプロスタグランジンという物質がさまざまな臓器の平滑筋という筋肉を収縮させることが原因です。月経痛があるということは、卵巣からきちんと女性ホルモンが分泌され排卵が起きている証でもあります。
月経困難症のクリニックでの治療法
月経困難症の治療法は痛みを止めたり、月経を止めるなどの対処療法が一般的です。
痛み止め
アセトアミノフェンまたは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)を処方し、痛みを抑えます。
低用量ピル
低用量ピルにより月経を止めることで一時的に辛い月経困難症を抑えます。
月経困難症が治りづらい理由
クリニック等でできる治療は対処療法が一般的ですので、根本治療は難しいです。器質的に問題がある場合は手術によって治る可能性があります。
月経困難症が治る理由
月経困難症はストレスや生活習慣、血液の状態に起因するためそれらを改善することで確実に治ります。ストレスを軽減し、生活習慣を見直して、血液の状態を綺麗にすることで改善します。
月経困難症を放置すると
月経困難症の場合、子宮の強い収縮により膣からの出血だけではなく、卵管の方へも月経血が流れ腹腔の中に溜まります。それが内膜症や癌などの症状に繋がっていきます。
PMSと月経困難症の関係性
直接的な関係性はないものの、ホルモンバランスや自律神経、ストレス、生活習慣病がその根源であることは確かです。それらの乱れが月経の前に出るのか、月経中に出るかの違いです。
PMSと月経困難症のセルフケア
PMSも月経困難症も自律神経を整えることと、身体を温めることがポイントです!
PMSのセルフケア
PMSの場合、炭水化物(特に砂糖)を抑えてタンパク質とオメガ3脂肪酸を取るといいです。また、有酸素運動や足湯もおすすめです。
月経困難症のセルフケア
月経困難症の場合、血液をサラサラにしたいので、炭水化物(特に砂糖)を抑えて、お水を体重×40cc以上飲んでください。また、お腹を徹底的に温めることも重要です。
本八幡鍼灸院での治療
本八幡鍼灸院では、PMSや、月経困難症の根源でもある自律神経やホルモンバランスを整える治療をしていきます。
鍼灸
鍼灸は身体のケアだけではなく、精神的な症状にも有効です。PMSや月経困難症の方はお腹や首肩が硬い方が多いのでそれらの症状を解消し体質改善をしていきます。
ビジリス
鍼では届かない骨盤底筋を動かせることのできる物療機器です。骨盤底筋の機能が落ちると子宮を支えられず下に落ちてしまい神経や血管が引っ張られて多くの症状につながります。骨盤底筋を鍛えることで子宮を正常な位置に戻し、改善していきます。
血液チェック
PMSも月経困難症も生活習慣に起因するため、赤血球の状態を直接見ることで、水分不足や、栄養不足などがわかります。食事から変えていくことで改善が確実に早くなります。
まとめ
- ・PMSも月経困難症も生活習慣が根源
- ・PMSはプロゲステロンの過剰分泌によって症状が現れる
- ・月経困難症はプロスタグランジンの過剰分泌によって状態が現れる
- ・クリニックでは対症療法が一般的
監修 本八幡鍼灸院院長 峯岸里美(鍼灸師歴18年)
2004年3月 鍼灸師国家資格取得
2003年4月 心身健康堂入社
2007年4月 けやきの杜鍼灸接骨院赤坂入社
2008年6月 住吉鍼灸院勤務
2013年2月 本八幡鍼灸院開院