卵管のつまりとは?原因から検査・治療法、妊娠への影響まで

卵管のつまりとは?原因から検査・治療法、妊娠への影響まで

卵管のつまり(卵管閉塞・狭窄)は、不妊症の大きな原因の一つです。卵管は精子と卵子が出会い、受精が行われる重要な器官ですが、さまざまな原因で詰まったり狭くなったりすることがあります。卵管が詰まると、受精ができなくなったり、受精卵が子宮に到達できなくなったりして、自然妊娠が難しくなることがあります。今回は、卵管の役割やつまりの原因、検査・治療法、妊娠への影響について詳しく解説します。

卵管のつまりとは?妊娠における卵管の重要な役割

卵管は、卵巣から排卵された卵子をキャッチし、精子と出会わせるための器官です。受精後、受精卵を子宮へ運ぶ働きも担っています。そのため、卵管に閉塞や狭窄があると受精が阻害されたり、受精卵が正常に移動できなくなったりするため、不妊の原因となります。

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卵管は精子と卵子が出会う場所

妊娠が成立するには、精子と卵子が卵管内で出会い、受精する必要があります。通常、精子は子宮を通って卵管へと移動し、排卵された卵子と受精します。受精後、受精卵は卵管を通って子宮へ運ばれ、子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。そのため、卵管が詰まると精子や受精卵がスムーズに移動できなくなり、自然妊娠の確率が低下します。

卵管のつまりは不妊の原因になる

卵管が完全に詰まっている場合、精子と卵子が出会えず、自然妊娠が難しくなります。また、卵管が狭くなっている「卵管狭窄」の場合も、受精卵がスムーズに子宮へ移動できず、子宮外妊娠(異所性妊娠)を引き起こすリスクがあります。卵管のつまりが不妊症の原因となっている場合、適切な治療や体外受精の選択が必要になります。

卵管が詰まる主な原因

卵管のつまりは、感染症や炎症、癒着などによって引き起こされることが多く、以下のような原因が考えられます。

 

クラミジア感染症などの性感染症による炎症

クラミジア感染症や淋病などの性感染症(STI)は、卵管に炎症を引き起こし、卵管が詰まる大きな原因の一つです。感染が長期間続くと、卵管内に癒着が生じ、精子や卵子の通り道が塞がれることがあります。特にクラミジア感染症は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行することが多いため、定期的な検査が重要です。

子宮内膜症による卵管の癒着

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が卵巣や卵管周辺に発生する病気です。この異常な組織が炎症を引き起こし、卵管の周囲に癒着を作ることで、卵管が詰まる原因となります。子宮内膜症による卵管の閉塞は、不妊の原因の一つとして知られています。

過去の手術による卵管への影響

過去に受けた子宮や卵巣の手術、骨盤内の手術が原因で卵管が癒着し、詰まることがあります。特に、帝王切開や卵巣嚢腫の摘出手術、子宮筋腫の手術後には、卵管の通りが悪くなるケースがあるため、術後のフォローアップが重要です。

骨盤内の炎症による卵管のダメージ

骨盤腹膜炎などの骨盤内の炎症が、卵管の閉塞や狭窄を引き起こすことがあります。炎症が慢性化すると、卵管周囲の組織が癒着し、卵管の柔軟性が失われてしまいます。その結果、受精卵の通り道が塞がり、不妊の原因となることがあります。

卵管のつまりは無症状?症状とチェック方法

卵管が詰まっていても、自覚症状がほとんどない場合が多いため、不妊検査を受けるまで気づかないケースが一般的です。しかし、場合によっては以下のような症状が現れることがあります。

 

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自覚症状がない場合が多い<

卵管のつまりは、特に初期段階では無症状のことが多く、妊娠を希望するまで気づかないケースがほとんどです。そのため、不妊症の原因として発覚することが多く、婦人科検診や不妊クリニックでの検査が重要となります。

月経不順や下腹部痛がサインとなる場合も

卵管のつまりが進行すると、骨盤内の炎症や癒着が影響し、下腹部痛や月経不順などの症状が現れることがあります。また、子宮内膜症が原因の場合は、生理痛が強くなることもあります。こうした症状がある場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。

不妊検査で発見されるケースが多い

卵管のつまりは、不妊検査の過程で発見されることが多いです。特に、1年以上妊娠の兆候がない場合は、卵管造影検査などの精密検査を受けることで、卵管の通り具合を確認することができます。

卵管のつまりを調べる検査方法

卵管のつまりは自覚症状がほとんどないため、婦人科での検査を受けることで初めて判明することが多いです。不妊の原因を特定するためには、卵管の通りを確認する検査が不可欠です。ここでは、主な検査方法について詳しく説明します。

 

卵管造影検査で卵管の通り具合を確認する

卵管造影検査は、不妊治療の初期段階

でよく行われる検査の一つです。子宮に造影剤を注入し、X線撮影を行うことで卵管の形状や通り具合を確認します。卵管が詰まっている場合、造影剤が途中で止まるため、つまりの有無が明らかになります。軽度の狭窄であれば、造影剤の圧によって卵管の通りが良くなるケースもあります。検査後に妊娠しやすくなる人もいるため、不妊治療の一環として受ける価値のある検査です。

超音波検査で子宮や卵巣の状態を把握する

経膣超音波検査は、子宮や卵巣の状態を確認する際に行われます。卵管自体は超音波でははっきりと映らないものの、卵管の周囲に水が溜まっている「卵管水腫」や、卵巣の異常などが見つかることがあります。これにより、卵管のつまりの原因を間接的に推測することが可能です。非侵襲的で痛みが少ないため、婦人科の定期検診としても広く利用されています。

腹腔鏡検査で卵管の状態を直接確認する

卵管のつまりが疑われる場合や、ほかの検査では確定診断が難しい場合には、腹腔鏡検査が行われることがあります。お腹に小さな穴を開け、カメラを挿入することで、卵管の状態を直接確認することができます。癒着や炎症の程度を正確に判断できるため、診断の精度が高い検査方法です。また、検査と同時に癒着を剥がしたり、卵管の通りを良くする手術を行うことも可能です。全身麻酔が必要なため、他の検査に比べると身体への負担はやや大きくなります。

卵管のつまりを改善する治療法

卵管のつまりが判明した場合、症状の程度や患者の年齢、妊娠希望の有無に応じて適切な治療法が選択されます。治療法には、薬物療法、手術、体外受精などがあり、状況に応じたアプローチが必要です。

薬物療法で炎症を抑える

卵管のつまりが軽度で、炎症が原因である場合には、抗生物質やホルモン治療によって改善が期待できることがあります。特にクラミジア感染症などの性感染症が原因の場合は、早期に抗生物質を使用することで炎症を抑え、卵管のダメージを最小限に抑えることが可能です。しかし、すでに卵管に癒着や狭窄が発生している場合、薬物療法だけでは改善が難しく、他の治療が必要になることもあります。

手術で卵管の癒着を剥がす

手術による治療は、卵管のつまりが重度であり、自然妊娠の可能性を高めるために行われることがあります。手術にはいくつかの方法があり、卵管の状態に応じて適切な手術が選択されます。

卵管鏡下卵管形成術(FT)

卵管鏡下卵管形成術(Fallopian Tube Recanalization, FT)は、カテーテルを使って卵管の詰まりを取り除く治療法です。比較的侵襲が少なく、回復も早いのが特徴です。ただし、卵管全体が狭窄している場合には適用できないことがあります。

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術は、卵管の癒着が重度である場合や、他の治療法で改善が見込めない場合に行われます。腹腔内の癒着を剥がし、卵管の通りを良くすることを目的とします。手術後の回復期間が短く、負担が比較的少ないのがメリットですが、卵管のダメージが大きい場合は、妊娠の確率が上がらないこともあります。

体外受精も選択肢の一つ

卵管のつまりが重度で、手術後も改善が見込めない場合や、年齢的に自然妊娠が難しい場合には、体外受精(IVF)が有力な選択肢となります。卵管の状態に関係なく、卵巣から採取した卵子と精子を受精させ、受精卵を直接子宮に移植するため、卵管の通過が不要となります。不妊治療の中でも成功率が高く、多くのカップルが選択している方法です。

卵管のつまりを放置するリスク

卵管のつまりを放置すると、不妊症だけでなく、他の深刻な健康リスクが発生する可能性があります。

不妊の原因となる

卵管が詰まることで精子と卵子が出会うことができず、自然妊娠が困難になります。また、排卵しても卵管が正常に機能しなければ、受精卵が子宮に到達できず、着床が起こらなくなります。不妊を防ぐためには、早期の検査と適切な治療が重要です。

異所性妊娠(子宮外妊娠)のリスクが高まる

卵管が狭くなっている場合、受精卵が子宮へ正常に移動できず、卵管内で成長してしまう「異所性妊娠(子宮外妊娠)」のリスクが高まります。異所性妊娠は母体にとって危険な状態であり、放置すると卵管破裂を引き起こし、大量出血を伴うこともあるため、早急な治療が必要となります。

卵管のつまりの改善における注意点

卵管のつまりの治療には、薬物療法、手術、体外受精などの選択肢がありますが、どの治療法が適しているかは、患者の年齢や状態によって異なります。治療を受ける際には、治療のメリット・デメリットを理解し、医師と十分に相談しながら適切な方針を決めることが重要です。また、治療後も再発や新たな癒着が起こる可能性があるため、定期的な検査を受けることが必要です。ここでは、卵管のつまりを改善する際に注意すべきポイントについて詳しく解説します。

治療法は年齢や状態によって異なる

卵管のつまりの治療法は、患者の年齢や卵管の状態、不妊歴によって異なります。例えば、20代や30代前半で卵管のつまりが軽度の場合、卵管造影検査後に自然妊娠できる可能性があるため、薬物療法や経過観察が選択されることがあります。一方で、30代後半以降や卵管のつまりが重度の場合、手術や体外受精が推奨されることが多くなります。特に、片側の卵管が閉塞していても、もう片方が機能している場合は、自然妊娠の可能性も考慮しながら治療を選択することが重要です。

医師とよく相談して治療方針を決める

卵管のつまりの治療には、リスクや費用、回復期間など様々な要素が関係してきます。そのため、治療を決定する前に、医師と十分に相談し、自分にとって最適な方法を選択することが大切です。例えば、卵管鏡下卵管形成術(FT)や腹腔鏡手術は効果的な手術法ですが、すべての人に適応できるわけではなく、癒着の程度や卵管の損傷具合によって結果が異なります。また、体外受精を選択する場合も、複数回の治療が必要になることがあるため、事前に治療計画を立てることが重要です。

治療後も定期的な検査を受ける

卵管のつまりの治療を受けた後も、定期的な検査を受けることが重要です。特に、手術で癒着を剥がした場合、再び卵管が狭窄・閉塞する可能性があるため、数ヶ月ごとに超音波検査や卵管造影検査を行い、卵管の状態を確認する必要があります。また、クラミジア感染症などが原因の場合、再発を防ぐためにパートナーと一緒に検査・治療を行うことも推奨されます。治療後に自然妊娠が難しい場合は、早めに体外受精を検討するなど、柔軟な対応を取ることが大切です。

卵管のつまりに関するよくある質問

卵管のつまりは、多くの女性が不妊の原因として悩む症状の一つです。治療法や妊娠の可能性などについて疑問を持つ方も多いため、ここでは、よくある質問に対して詳しく回答していきます。

卵管のつまりは自然に治る?

卵管のつまりが自然に治ることはほとんどありません。しかし、卵管の軽度の狭窄や粘液の詰まりであれば、卵管造影検査を行うことで改善することがあります。造影剤が卵管を通ることで、一時的に通りが良くなり、自然妊娠の確率が上がるケースもあります。ただし、重度の閉塞や癒着がある場合は、自然治癒は期待できないため、手術や体外受精といった治療法を検討する必要があります。症状が進行しないうちに適切な検査を受けることが大切です。

卵管のつまりは予防できる?

卵管のつまりの予防には、感染症や炎症を防ぐことが重要です。クラミジアや淋病などの性感染症は、卵管閉塞の主要な原因の一つであり、これらの感染を予防することでリスクを大幅に減らすことができます。コンドームを使用すること、定期的に性感染症の検査を受けることが有効です。また、子宮内膜症が原因で卵管のつまりが起こることもあるため、月経痛が強い場合は早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けることが推奨されます。さらに、骨盤内の炎症を防ぐために、冷え対策や健康的な生活習慣を心がけることも重要です。

卵管のつまりがある場合、妊娠の可能性は?

卵管のつまりがあっても、妊娠の可能性はゼロではありません。片側の卵管が機能している場合は、自然妊娠の可能性も十分にあります。また、卵管造影検査や卵管鏡下卵管形成術(FT)を行うことで、卵管の通りを改善し、妊娠の可能性を高めることができます。ただし、両側の卵管が完全に詰まっている場合は、自然妊娠は難しくなります。その場合、体外受精が有力な選択肢となります。適切な治療を受けることで妊娠のチャンスを高めることができるため、医師と相談しながら最適な治療法を選ぶことが重要です。

まとめ

卵管のつまりは、不妊の原因としてよく見られる症状の一つであり、クラミジア感染症、子宮内膜症、過去の手術、骨盤内の炎症などが主な原因となります。卵管が詰まると精子と卵子が出会えず、妊娠が難しくなるため、適切な検査と治療が必要です。

卵管造影検査や腹腔鏡検査などを通じて、卵管の状態を確認し、症状の程度に応じた治療を行うことが大切です。軽度の狭窄であれば造影検査や薬物療法で改善する可能性がありますが、重度の閉塞がある場合は手術や体外受精が選択肢となります。また、治療後も定期的な検査を受け、再発防止に努めることが重要です。

卵管のつまりは自然に治ることはほとんどないため、早めに検査を受け、適切な対策を講じることが妊娠への近道となります。医師と相談しながら、自分に合った治療法を選び、健康な妊娠・出産を目指しましょう。

 

監修 本八幡鍼灸院院長 峯岸里美(鍼灸師歴18年)

2004年3月 鍼灸師国家資格取得
2003年4月 心身健康堂入社
2007年4月 けやきの杜鍼灸接骨院赤坂入社
2008年6月 住吉鍼灸院勤務
2013年2月 本八幡鍼灸院開院

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