体外受精の胚移植後の身体の変化と判定までの過ごし方
体外受精・胚移植法の着床から妊娠までの流れ
2分割から8分割までの受精卵を移植する方法を初期胚移植と言います。
自然妊娠では初期胚は卵管にあり、卵管を4~5日かけて成長しながら子宮に向かいます。
同様に、初期胚移植も4~5日後頃に子宮内膜に着床して妊娠が成立します。
移植から11~12日後に妊娠判定を行い妊娠が確認されます。
排卵誘発治療
排卵誘発法は、卵子を育てるための薬と排卵を促す薬を投与して卵胞(卵子)を発育させ、排卵を促す治療法です。
排卵障害のある方や排卵日が予測しづらい方に行うことが多いです。妊娠率を上げるために正常排卵周期の方にも行うことがあります。人工授精や体外受精では排卵誘発法を併用することによって妊娠率が上がると言われております。
採卵
採卵とは排卵の直前に卵巣から卵子を体外に取り出す方法です。卵子は卵胞という殻につつまれ、卵巣の中にあります。
この中から1か月1回約1000個消費し、主席卵胞という最も良い卵胞だけが大きく成長して1つの卵子が排卵されます。
従って、自然周期排卵で採卵を行う場合には基本的に採卵数は1つになります。
排卵誘発法により卵巣を刺激して人為的に卵子を育て成熟させる卵巣刺激を行った場合には複数個の卵子が卵巣の中で成長します。
その場合には左右両方の卵巣から複数個の卵子が採取可能となり、できるだけ多くの卵子を採取することで次の体外受精の回数や確率が上がります。
受精
採卵した卵子と選別した運動性の高い精子を一緒にして受精させます。体外受精での受精方法は、体外受精と顕微授精の2つあります。
体外受精では、シャーレ上で卵子と精子を出合わせ、精子が自ら卵子に侵入することで受精が起こります。
顕微授精では、顕微鏡下で細いガラス管を用いて精子を卵子に注入し受精させる方法です。精液所見が不良な男性不妊症や体外受精では受精卵を得られない場合に行います。
分割
体外受精・顕微授精で得られた受精卵は専用の培養液で培養され、細胞分裂を開始すると「胚」と呼ばれます。
通常移植されるのは、2〜3日間分割させた初期胚もしくは5日間分割させた胚盤胞となります。
胚盤胞の方が妊娠の確率は高いですが、胚盤胞まで育たない受精卵もあるため、その場合は初期胚を試すことが一般的です。
胚移植
胚移植には「初期胚移植」、「胚盤胞移植」、「二段階移植」の3つのパターンがあります。
初期胚移植は2〜3日間分割させた受精卵を子宮に戻す方法です。初期胚は自然妊娠ではまだ卵管にいる状態なので着床までに4〜5日程度かかります。
胚盤胞移植は5日間分割させた受精卵を子宮に戻す方法です。胚盤胞は自然妊娠では着床寸前の状態なので着床までに1〜2にち程度かかります。
二段階移植は初期胚と胚盤胞を同じ周期に移植する方法です。初期胚が子宮内膜を刺激して、胚盤胞の着床率を高めるのが狙いです。ただし、双子や多胎妊娠の確率も高まることから注意が必要です。
黄体補充療法
通常、排卵後に卵巣から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、受精卵の発育と着床を助けてくれます。
この黄体ホルモンが低いと着床が障害されるため、黄体を補充することにより着床率及び妊娠率をあげる療法です。
黄体補充療法には黄体ホルモン(プロゲステロン)を使用する方法と、HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を使用する方法の2種類があります。
HCGには黄体ホルモンにはないエストロゲンの分泌も促す作用があるため、黄体ホルモンのみより着床しやすいとされています。
妊娠判定
妊娠判定は、胚移植後から初期胚の場合は9~18日後、平均で13日目、胚盤胞の場合で6~15日後、平均で11日目に判定できます。
判定は、血液検査と尿検査が一般的で、血液検査の方が多いです。クリニックによっては両方行うところもあります。
妊娠判定は生化学的な反応を診ますが、妊娠成立は胎嚢と胎児心拍を確認します。黄体補充療法を行っている場合は薬剤によっては妊娠していなくても陽性反応が出る事もあるので市販の検査薬では注意が必要です。
体外受精移植後に注意すべき症状
精子は他人の細胞であるため、身体は異物として反応することがあり、着床時には受精卵が内膜にのめり込むことから出血などが起こることもあります。
症状に不安を感じた場合は即座に医師に相談することが重要ですが、過度な心配は身体に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な知識を持って冷静に対応することが大切です。
腹痛
移植後の腹痛と着床の関連性は医学的に確立されていませんが、移植後の腹痛は主に子宮収縮によるものと考えられています。
他にも採卵時の卵巣刺激による卵巣の腫れや卵巣捻転による痛みが考えられます。痛み方は個人差がありますが、定期的に強い痛みがある場合は医療機関を受診することをお勧めします。
おりもの
通常排卵後からおりものの量は減っていきますが、妊娠した場合は量が減らなかったり増える場合があります。
おりものは体外からの雑菌を防ぐ役割があるため、分泌量が減らないのは自然なことと考えられます。
しかし、おりものは個人差が大きいため着床の判断材料にはなりません。
注意する点としては白く濁ったボロボロとしたおりものが出る場合、カンジダ膣炎の可能性があることです。
また、発熱や下腹部痛を伴う場合は、卵管炎や子宮内膜炎の可能性もあります。灰色がかった白色で魚が腐ったような臭いで水っぽいおりものの場合は、細菌性膣症の可能性も考えられます。このような症状がある場合は医師に相談してください。
出血
移植直後の出血にはいくつかのパターンがあります。
着床せずに生理が来たパターン、着床時に起こる着床出血、化学流産による出血です。
ただし、出血があるからといって必ずしも危険な状態とは限りません。自己判断せず、出血が長引く、量が増えるなどの場合は医師に相談することをおすすめします。
移植後や妊娠中の子宮の粘膜は充血しており非常に出血しやすい状態です。わずかな刺激でも出血すると言われており、着床時に受精卵が子宮内に潜り込む際にもよく見られます。
とはいえ妊娠初期の出血はとても不安に駆られるでしょう。軽度の出血なら問題ないことが多いですが、下腹部痛を伴う場合は何か緊急性のある状態が考えられるため、すぐに医師に相談してください。
じんましん
移植後、蕁麻疹が出る方も少なくありません。これは主にホルモン療法の副作用として考えられます。
どんな薬剤であっても蕁麻疹の副作用は存在していて体に合わなかったことを意味します。そのまま続けてしまうと重症化してしまったり、アナフィラキシーショックのような症状が出る場合もあります。
蕁麻疹は胎児に対して影響を及ぼすことはないとされていますが、それでもすぐに医師に相談することが賢明です。蕁麻疹はストレスを引き起こす可能性があり、妊娠には良くない影響を及ぼす可能性もあります。早めに医師に相談しましょう。
胚移植後の判定期間の過ごし方
体外受精や顕微授精では一般不妊治療と違い、出産して赤ちゃんを得るために、来院する回数や診察時間も多くなります。
治療にかかる費用も多くなるため、ナーバスになるのはよくわかりますが、神経質にならないことが非常に重要です。
ここまで来たら今までやって来たことや赤ちゃんを信じましょう。改めて食事、運動、睡眠を見直してできるだけストレスを溜めないよう穏やかな日常生活を送ることが大切です。
妊娠力を下げる行為
移植後はストレスを溜めないことが大切ですが、何をやってもいいわけではありません。以下のものは控えるようにしてください。
・激しい運動
特に上下運動は控えた方がいいです。自転車でガタガタする道を通ったり、ジャンプをするようなダンスは控えましょう。
・飲酒、喫煙
これは移植前に辞めていることが望ましいです。どちらも流産の可能性を高めます。特に男性は自分の体で妊娠が起こるわけでは無いのでないがしろにしがちですが、精子の質も受精卵の質に影響します。
・身体を冷やす行為
冷たい食べ物や露出の多いファッションは控えましょう。身体が冷えると子宮内の血流が減少し、受精卵の成長や着床率に影響します。
・サウナや長風呂
精子や受精卵は熱に弱い性質を持っているのでサウナや長風呂で温めすぎるのは細胞を傷つけるので注意してください。
・仕事での過労やストレス
過労やストレスを溜め込むと子宮や卵巣への栄養供給を減少させる可能性があります。できるだけリラックスした時間を持つように心掛けましょう。
・糖質の多い食事
糖質が多い食事や甘いものを多く摂ると身体は糖化といって老化現象がおきます。それにより卵巣や子宮の機能が低下します。
また、糖質の多い食事は血液がドロドロになり細い子宮や卵巣の血管を通れなくなります。さらに砂糖は一気に血糖値が上がることから自律神経を乱します。ストレスに弱くなったりホルモンバランスが崩れます。
妊娠力を高める行為
妊娠力を高めるためには健康的な生活習慣が重要です。これは移植後に限らず妊活を考えた時からやるべきことでもあります。そして、出産後ももちろん大切なことです!ここでは特に妊娠に関わることをお伝えします。
・食事
妊活中特に大切な栄養素は「タンパク質」と「良質な油」です。牛や豚の赤身、大豆、マグロやカツオ、卵など、未加工の食品を選んで食べるようにしましょう。特に卵は1日に3つ摂取することをおすすめします!良質な油として、オメガ3系を意識して摂取することが大切です。オメガ3系のアマニ油やエゴマ油は、どちらも熱に弱いためサラダにかけたりスプーンでそのまま摂取することもできます。
・睡眠
最近の研究で睡眠が体外受精の成功率を上げることが明らかになっています。睡眠ホルモンのメラトニンが関係していると言われており、メラトニンの働きは大きく分けて4つあります。①受精率の向上と胚発育②子宮内膜の着床遺伝子の調整による着床率向上③母体ストレスを緩和し子宮環境を整える④子宮収縮のタイミングと程度の調整により安産につながる。大切なのは休日の寝溜めや朝寝坊を出来るだけ減らして生活リズムを整えることです。
・運動
移植後は激しい運動は避けるべきですが、ウォーキングや踵上げ(レッグレイズ)など足の血流を上げることが望ましいです。足の血流量を増やすことで子宮や卵巣の血流量も増やすことができるからです。また、血液は栄養だけではなく熱も運んでいるので足からお腹を通って心臓に戻る際に子宮や卵巣の周りも温めてくれます。さらに、ヨガやストレッチなどは骨盤を正しい位置に戻したり、ストレスの緩和につながるのでおすすめです。
・足湯→入浴
足湯で足の血液を温めた後に入浴することで、温かい血液がお腹を通ってくれるので望ましいです。入浴はただ身体を温めるだけでなく、水圧によって血管のブレをなくすことで血流を促進してくれます。毎日の習慣として足湯から入浴することをおすすめします。
・鍼灸治療
鍼灸治療は自律神経を整えるのが得意です。移植後に不安や緊張を感じると、無意識に交感神経が優位になったり、筋肉が硬くなっていることがあります。鍼の効果によって副交感神経を優位になり、筋肉の緊張が緩和され、リラックス状態を作ることができます。また、副交感神経は血管を広くする作用もあるので子宮や卵巣の血流量をアップさせることもできます。
卵子の凍結保存について
卵子凍結保存には、「未受精卵凍結」と「受精卵凍結」の2つが方法があります。
未受精卵凍結は基本的には未婚女性が対象で、悪性腫瘍などにより卵巣機能が低下する可能性がある場合に妊孕性の温存が目的です。
受精卵凍結は体外受精の過程の一部として行われる他、今は子どもを望まないが将来的に子どもを望む方で加齢による生殖能力の衰えに備えて先に凍結しておくのが目的とされます。卵子や精子を単独で凍結するよりも受精卵として凍結保存した方が妊娠率は高いと言われています。
当院で胚移植後にできる妊娠率を高める治療
当院では胚移植を何度しても妊娠が望めなかった方が鍼灸治療によって妊娠率が高まり、妊娠に至った実績が多く存在します。鍼治療は肩こりや腰痛の治療だけでなく、妊活においても非常に有効です。
鍼灸で自律神経をベースにホルモンバランスと体調を整える
妊娠力を高める行為のところでも少し触れましたが、鍼灸は自律神経を整えるのがとても得意です。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つに分かれますが、なかなか妊娠に至らない方は交感神経(緊張状態)が優位な方が多いです。
交感神経は血管を細めたり、細かいことに過敏になったり、呼吸が浅くなる作用があります。それを鍼灸によって副交感神経(リラックス状態)に変えることができます。
副交感神経は血管を広げ、ホルモンバランスが正常化され、胃腸の調子が整います。また、当院では子宮や卵巣の近くに鍼をすることで骨盤内の血流をアップするようアプローチすることで妊娠率を高めてます。
スーパーライザーで精子と卵子を守る
当院では、鍼灸の他にもスーパーライザーというレーザー治療器を用いて妊娠力アップを図っています。
スーパーライザーを喉の星状神経節に当てることで免疫寛容化といって、本来異物である精子や受精卵に対しての攻撃を免疫機能から守ることができます。
それにより精子や受精卵を傷つけずに妊娠率を向上させております。
オイルトリートメントで血液の流れを良くする
当院ではあくまで治療がメインですので、オイルトリートメントといってもリラクゼーションではありません。
特に移植後はふくらはぎのオイルを行うことが多いです。足の血流をしっかりとお腹を通して心臓に戻すのが目的です。
また、オイルトリートメントはリラックス効果も大きいので不安が強いこの時期にはメンタルのケアとしてもとっても有効といえます。
体外受精の胚移植後の身体の変化と判定までの過ごし方まとめ
・移植後注意が必要なのは下腹部痛と長引く出血だが、ここまで来たら自分の行動と赤ちゃんを信じることが大切。
・妊娠率を下げる行為は、「激しい運動」「飲酒と喫煙」「身体を冷やす」「サウナや長風呂」「過労やストレス」「糖質と砂糖」
・妊娠率を上げる行為は「タンパク質と良質な油」「睡眠の質を上げてメラトニンを出す」「ウォーキング、レッグレイズ、ヨガ、ストレッチ」「足湯→入浴」「鍼灸治療」
・鍼+スーパーライザー+オイルトリートメントが妊娠率を高める
患者さんの喜びの声
3度目の体外受精が残念な結果になり鍼灸に通いました(H・Kさま)
33歳の頃からクリニックに通い、4~5年クリニックに通っていました。
3度目の体外受精が残念な結果になり、絶望感を感じていたときにこちらのHPに出会いました。
やれることはすべてチャレンジしようと思い、夫婦で通ってみることにしました!
夫婦で通って1番は妊娠できたことが嬉しいです(^^♪
本当に通ってよかったと思っています。
その他、多くの患者様のお声を頂いております。
詳しくはこちら↓をクリック
体外受精に向けて、
一緒にお身体の状態を整えてきましょう(^^)
監修 本八幡鍼灸院院長 峯岸里美(鍼灸師歴18年)
2004年3月 鍼灸師国家資格取得
2003年4月 心身健康堂入社
2007年4月 けやきの杜鍼灸接骨院赤坂入社
2008年6月 住吉鍼灸院勤務
2013年2月 本八幡鍼灸院開院