子宮腺筋症と排卵痛への理解と対処法
子宮腺筋症とは
子宮腺筋症とは、子宮内膜に似たものが、子宮の筋肉の中にもできた状態のことです。
子宮腺筋症の症状
子宮腺筋症は生理のときに子宮の筋肉の中でも出血が起きて、症状が出ます。生理が完全に止まる年齢になると、症状も消えることが多いです。
月経痛
子宮自体の肥大化により、生理痛がひどくなることがあります。月経時にプロスタグランジンによって子宮が収縮する際に筋肉の中にできた内膜に似たものが動きの邪魔をして痛みが出ると考えられています。
月経時以外の腹痛
子宮の筋層に内膜の様なものができていることから、常に違和感を感じる方もいます。血の塊は表面がギザギザしているためチクチクとした痛みを生じる方もいます。
貧血
子宮腺筋症になると月経量が増えることから貧血を引き起こすことがあります。
肥満ではないのにお腹だけぽっこり
子宮の筋層にできた内膜様物質がどんどん大きくなっていき、お腹を内側から押し込んでいくことでお腹が出てしまいます。
排便時に痛みが伴う
大きくなったら子宮が直腸や膀胱を圧迫することで、頻尿や排便時の痛みを生じることがあります。
妊娠が叶わない
子宮の蠕動運動の増加(着床障害)、精子の遡上運動を阻害、感染に対する抵抗性の低下(子宮内検査、採卵、胚移植時)着床不全などが妊娠に影響を与えます。
子宮腺筋症の診断方法
子宮腺筋症はできる場所などによっても妊娠に影響するかしないか左右されるため細かく診ていく事が重要です。
内診
内診だけで診断をつけることはありませんが、主に痛みの有無を確認します。
経腟超音波検査
超音波検査では肥大の有無を確認します。肥大していなければ様子を見ます。肥大している様であればMRIを用いて詳しく調べていきます。
MRI検査
超音波検査よりも詳しい画像が見れるので、お腹の状態を詳しく見て診断します。
血液検査:CA125
CA125とは卵巣がんや子宮体がんなど特異性が出る腫瘍マーカーです。ただ、子宮腺筋症などの良性の腫瘍にも反応するため診断に役立ちます。
子宮腺筋症の原因
子宮腺筋症の原因については、未だはっきりしたことが分かっていません。 子宮内膜が、何らかの要因によって子宮筋層に入り込んでしまうと考えられています。
クリニックでの治療
治療では主に薬の使用や手術が行われます。症状が軽い場合は症状を和らげる薬を使用して様子を見ますが、重い場合は手術が検討されることもあります。
薬物療法
薬物療法によって根治することは出来ませんが、症状を抑え、進行を止める事ができます。
ホルモン療法
排卵や子宮内膜が厚くなるのを止める薬や、女性ホルモンの量を減らす薬など、さまざまな種類があります。主に生理痛を和らげるために使われます。
鎮痛剤
痛みを和らげる薬です。主に生理痛を和らげるために使われます。
漢方薬
漢方薬は局所のうっ血をとり、ある程度筋腫を小さくすることができます。 また、立ちくらみやめまいなど随伴症状を軽減する効果もあります。代表的な漢方薬として、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)がよく使用されます。
鎮痙薬
症状の軽い場合は、鎮痛薬などで月経痛を軽減したり、低用量EP配合薬、子宮内黄体 ホルモン放出システムで過多月経などを軽減できます。 また、子宮腺筋症に伴う 痛軽減の治療薬として、ジエノゲスト錠1mg「モチダ」が保険適用されています。
手術療法
手術の判断ポイントは妊娠を希望するかしないかが大きな判断基準になります。
子宮腺筋病巣切除術
子宮腺筋病巣切除術は妊娠を今後希望される方で、腺筋症の病巣だけを取り除く手術です。
子宮摘出術
子宮摘出術は妊娠を今後希望しない方が、子宮全てを取り除く手術です。
子宮腺筋症と子宮内膜症の違い
子宮内膜組織が子宮筋層の中にできるのが子宮腺筋症で、それ以外の場所にできるのが子宮内膜症です。
子宮腺筋症と排卵痛の関係
基本的には月経痛が起こるのが一般的ですが、子宮腺筋症の場所によっては卵巣を圧迫してしまい痛みにつながることがあります。
子宮腺筋症が改善しにくい理由
子宮腺筋症はエストロゲンによって肥大化していきますので、妊娠を望む女性にとって必要なエストロゲンを止める事ができません。また、子宮にできた目に見えない穴を塞ぎ腺筋症自体を治す事が今はできないからです。
子宮腺筋症が改善する理由
子宮腺筋症は閉経するとエストロゲンが低下するため症状が消失します。妊娠を望む女性にとってはとにかく子宮内の循環や代謝を良くする事、これ以上見えない穴を増やさない事で改善していきます。
子宮腺筋症と不妊の関係
子宮腺筋症によって必ずしも不妊になるわけではありません。ただ、通常の子宮よりも10%程度妊娠の確率が落ちるとされています。また、流産率に至っては15%程度確率が上がります。
子宮腺筋症とホルモンの関係
子宮腺筋症はエストロゲンによって肥大化されてしまいます。エストロゲンの分泌が低下する閉経期には肥大化が止まっていきます。
子宮腺筋症はガンになるのか
子宮腺筋症は良性の腫瘍のため、ガンになることはありません。しかし、子宮腺筋症をしっかり調べず放置すると実はガンだったということはあります。
子宮腺筋症の東洋医学的捉え方
子宮腺筋症は瘀血という血の滞りと考えられます。冷えによる瘀血なのか、瘀血が熱を持ち始めているのか判断して治療をしていきます。
本八幡鍼灸院での治療法
本八幡鍼灸院では西洋医学的観点と東洋医学的観点両面から見て、クリニックでの治療を邪魔しない施術を心得ております。
鍼灸
鍼灸によって気血津液のバランスをとることで、瘀血の状態を改善していきます。また、薬を使わずに痛みの緩和もしていくことで妊活に励めるよう施術していきます。
ハイパーナイフ
瘀血に対して深く熱を入れていく事が重要です。ハイパーナイフという物療機器を使う事で子宮内の血流をあげ瘀血を取り除いていきます。
よもぎ蒸し
よもぎ蒸しは子宮を直接的に温めて瘀血を除去していくだけではなく、子宮内のデトックスとしても働きます。
まとめ
- ・子宮腺筋症は子宮の筋層内に内膜のようなものができた状態
- ・妊娠を望むか望まないかが治療の判断基準
- ・子宮腺筋症は瘀血を取り除く事が大切
監修 本八幡鍼灸院院長 峯岸里美(鍼灸師歴18年)
2004年3月 鍼灸師国家資格取得
2003年4月 心身健康堂入社
2007年4月 けやきの杜鍼灸接骨院赤坂入社
2008年6月 住吉鍼灸院勤務
2013年2月 本八幡鍼灸院開院